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世界大学ランキング どうやって計算されてるの??


世界大学ランキング 東大23位、日本の大学軒並み下落

英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が10月1日、今年の世界大学ランキングを発表しました。今回発表された世界の大学ランキングでは、東京大学が23位で日本国内トップでした。

日本のニュースでは、東大がアジアトップをキープしたことや、ほかの国内大学のランキングが下がってきていることが取り上げられています。

日本の大学で東大に続いたのは京大の59位だったが、昨年の52位から降下。さらに、東工大141位(昨年125位)、大阪大157位(同144位)、東北大165位(同150位)と、いずれも昨年よりランクを落とした。

朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASG9Z5PXZG9ZUHBI017.html

さらに、シンガポール国立大学が25位につけていることなど、日本が全体的にランキングを落としたことに比べ、アジアの大学が評価を上げてきていることにも注目されています。

アジアでは、▽シンガポール国立大学が去年より順位を1つ上げて25位と東京大学に迫り、▽香港大学が43位、▽中国の北京大学が48位で、▽韓国のソウル大学が50位となりました。

NHK http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141002/k10015049931000.html

2011年度のランキングから14年度のランキングまでに、国内大学のランキングが合計どれだけ上がったかを調べると、

 

シンガポール +123順位
韓国 +103順位
香港 +25順位
中国 +23順位

 

と、アジアの国々が評価を上げてきている一方で、日本はアメリカに次いで-116順位と、ワースト2位となっています。

日本では2014年9月26日に「スーパーグローバル大学」が37校指定され、そのうちトップ型の13校に対しては今後10年間で世界大学ランキングの100位へ入ること という具体的な目標が示されました。

 

ランキング順位ばかりが気になりがちですが、そもそもこの世界大学ランキングというのは、どのような指標によって決められているのでしょうか?どのような点を強化する必要があるのでしょう?

 

ランキングはどうやって計算されているのか

タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの大学ランキングは以下のような指標で点数化されている。

 

Teaching 【教育】(全体評価の30%)

有識者の評価 …15%
教員当たり生徒数 …4.5%
学士授与者のうち博士授与者の割合 …2.25%
教員当たり博士授与者の割合 …6%
教員当たり収入 …2.25%

 

Research 【研究】(全体評価の30%)

研究者による評価…18%
研究員あたりの研究収入…6%
教員あたりの論文数…6%

 

Citations 【引用】 (全体評価の30%)

過去5年の学術誌などに掲載された論文でどれだけ論文が引用されているか。

 

International Outlook【国際化】(全体評価の7.5%)

外国人学生の比率…2.5%
外国人教員の比率…2.5%
外国人共著者をもつ論文の割合…2.5%

 

Industry Income【産業収入】(全体評価の2.5%)

教員当たり産業収入。(発明やコンサルタントによってどれだけ産業に役立てているか)

 

——————————–

教育、研究、引用の3項目ですでに全体評価の90%という配点です。国際化や、産業収入は合わせて10%。ランキングへの影響は実は大きくはありません。

 

では、東京大学の評価の内訳は? ラインキング1位との比較

アジアで1位だった東京大学ですが、実際どんな点が評価が高く、どのような点の評価が悪かったのでしょうか。

 

Total      76.1/100
教育       81.4/100
研究       85.1/100
引用       74.1/100
国際化       32.4/100
産業収入       51.2/100

*それぞれの項目が上記で紹介した30%、30%、30%、7.5%、2.5%で傾斜乗算されてトータルポイントになる

 

1位のカリフォルニア工科大学は、

Total      94.3/100
教育       92.2/100
研究       98.1/100
引用       99.7/100
国際化       67.0/100
産業収入       89.1/100

 

東大は、教育や研究など、勉強する環境としては整っていると言えます。実際、15位〜22位あたりの大学と比べても、教育と研究に関する評価は高めで劣っていません。

 

しかし一方で、論文引用が少なく、産業収入も少ないことから学問分野への貢献度や産業への貢献度が低いと言えます。論文引用が多いということは、世界全体の知識において後世につながるような研究であったり、重要な研究であるということです。

 

外国人講師の登用、留学生数の少なさにメディアは注目しがちですが、配点計算傾斜の仕組み上、東大の痛いところは「引用」の少なさです。

 

アジアの他の大学は? シンガポール大はライバルか?

ランキング25位でアジア2位のシンガポール国立大学は次のようになっています。

Total      73.3/100
教育       72.0/100
研究       78.1/100
引用       66.0/100
国際化       94.9/100
産業収入       53.4/100

 

シンガポール国立大学は国際化に関する評価が高いことがわかります。シンガポールは英語を公用語としていることもあり、留学生比率は30%ほどと、世界でも非常に高くなっています。

 

アジアの大学は総じて国際化の点では全体的に評価はあまり高くありませんが、アジア3位の香港大学、7位の香港工科大学などは国際化の評価が高く、英語が公用語として使われていることも理由の1つとして考えられます。

 

その点東京大学は国際化の評価が他に比べて低くなっています。

 

また国際化に関しては、京都大学が29.0ポイント、東京工業大学が37.0ポイント、大阪大学が29.1ポイント、東北大学が29.7ポイントと、全体を通して低めになっています。

 

現在の政府の方針として、前にお伝えした国際バカロレアプログラム認定校の増加などグローバルな教育を掲げています。世界ランキングを上げるという点のみで言えば、まさに日本の大学の弱点部分であると言えるので、今後効果があるかもしれません。

 

そのほか、産業収入に関しては、東京大学以外の国内4大学では70前後と高めの評価がでています。

 

特に、東北大学が76.8ポイントで国内では最も評価が高くなっています。東北大学では組織的な民間企業との産業提携が行われており、トヨタや三菱電機などとの共同開発も行われています。理系分野での貢献が評価されていると考えられます。

 

 

学問分野別のランキングにも注目したいところ

学問分野別のランキングもでているので紹介します。

Arts & Humanities 【芸術/人文系】

:日本トップ100該当なし

アジアでは、シンガポール国立大学が42位トップです。現在の政府方針としては、日本の国立大学では人文系学部の統廃合を進めようとしているので、ますます下がりそうですね。

Clinical, Pre-clinical and Health 【医学系】

:36位 東京大学
:53位 京都大学

東京大学がアジアトップで、56位に香港大学、58位にソウル国立大学が続いています。

Engineering & Technology 【工学/応用科学】

:25位 東京大学
:41位 京都大学
:59位 東京工業大学
:70位 東北大学

13位のシンガポール国立大学、21位の香港工科大学、23位の中国の清華大学に続いていて東大がアジア4位です。

このほかにもアジアの大学が多くランキングしており、この分野ではアジアの大学が活躍していることがわかります。

Life Science 【生命科学】

:28位 東京大学
:36位 京都大学
:49位 大阪大学

アジアでは、シンガポール国立大学が34位につけています。

Physical Science 【自然科学】(物理学、生物学、宇宙科学など)

:18位 東京大学
:38位 京都大学

東大18位と高い評価を得ています。この他、37位に北京大学が入っています。

Social Science 【社会科学】

:87位 東京大学

29位にシンガポール国立大学、香港大学がアジアトップで並んでいます。そのほか、中国、台湾、韓国などの大学が日本より上位に並んでおり、この分野ではアジアでもあまり強くないようです。

分野ごとにみると、芸術/人文や社会科学など文系が弱く、自然科学や生命科学などで評価が高いことがわかります。工学ではアジア全体的に頑張っていることがわかります。

 

おわりに

本エントリーの主旨でもありますが、最終的なランキングを見て「やっぱ○○大学すごい」「日本の大学はまだまだだ」といったことを考える前に、どういった指標で、どういった傾斜による計算でその順位が決まるのかを知ることが大変重要なことだと思います。

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