「ウチの子通わせるならやっぱり偏差値60以上の学校が良いわよねぇ・・・」
「あんた前回の模試より偏差値10も下がってるじゃない!どういうことよ?」
「今回の模試は国語が偏差値50台だけど算数は65だったよ。やっぱり国語はどうも苦手だなあ」
どれもこれも中学受験に関してよく聞くセリフだ。受験校を選んだり、子どもの弱点を見つけたりする際に必ず話題になる「偏差値」。中学受験のみならず大学受験まで登場するため、私たちの多くが一度はお世話になるこの偏差値だが、その定義や仕組みを知っている人はどれほどいるだろうか。今回は知っているようで知らない、「偏差値」についてご紹介したい。
まずは偏差値の定義から。偏差値とは「テストで平均点を取った人を偏差値50として、ある集団の中での位置を示す数値」(Benesse マナビジョンより)である。つまり偏差値50以上の人は集団の平均点以上をとり、50以下の人は平均点以下の点をとったということである。
例えばロジオくんがテストAで60点取っても、テストBで60点取っても数字を見れば同じ60点だが、二つのテストの難易度が異なればその60点の”価値”が変わってくる。同じ60点でも平均点が55点のテストAと平均点が70点のテストBでは60点の”すごさ”は大きく異なる。
つまり、平均点からどれだけ離れているかを表す数字が偏差値であり、平均点と同じ点数なら偏差値は50。平均点よりちょっと点数がよければ、偏差値は50よりちょっと上。平均点よりずっと点数がよければ、偏差値は60や70、場合によっては80以上にもなる。
さらに平均点以外にも偏差値を決める要素がある。得点のバラツキ(標準偏差という)である。
先ほどのテストAの平均点が50点だったとしよう。おそらくロジオくんのお母さんは「平均点が50点で60点じゃあまだまだね。」と言うだろう。しかしそれは受験者の点数が100点、80点、70点、50点…と幅広く散在している時だ。
しかし、もしテストAの最高点が62点でほとんどの人が50点台であったら、60点というのは大変優秀な成績となる。
得点が60点、平均点が50点でも、他の人の点数のバラツキぐあいによって偏差値はことなる。上の例だと、図2のほうがロジオくんの偏差値は高くなる。
極端な話、100点満点のテストで受験者のほとんどが0点をとり、ロジオくん1人だけが100点をとるとする。平均点は0点よりも少しだけ大きい数字となり、ばらつきが少ない状態で、平均点より随分良い点をとっているロジオ君の偏差値はおそらく100を超えるだろう。受験者数によっては150に届くかもしれない。
また、テストの母集団によってその”価値”が変わる点も知っておきたい。成績優秀者のみを集めて実施したテストで出る偏差値60と、猫も杓子もだれもが受けるテストでの偏差値60は、同じ偏差数値であっても同じ学力を表さない。
偏差値のしくみを理解すると、参考にならないデータを比較して一喜一憂することもなくなるだろう。さらに、偏差値というのが単なる統計データであり、単なる「平均からどれだけ離れているか」という数値であることが分かれば、時々聞かれる「偏差値が教育をダメにする」という議論がどれほど的外れなものかわかるだろう。
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