いま何が検討されているのか
これまでの日本の教育制度は小学校6年・中学3年・高校3年制でした。
しかし、最近 小学校と中学校の一貫教育 による新たな教育制度が注目されています。
政府は、このように小中9年間や小中高の教育を1まとめにする制度を考えています。
4・4・4制度の場合は高校に上がる年齢も変わります。
しかし、今回7月にあった政府の提言では、この6・3・3制度の見直しは見送ることになりました。
特例として実施するのではなく全国的な制度とするためには教員免許の問題等、変更しなくてはいけない仕組みが数多く、制度変更のメリットとそれにかかるコストが釣り合わないためだと言われています。
しかし将来の制度改革をみすえて、小学校中学校のどちらにも対応できるような教員免許を作るように教員免許制度の見直しをしようという案がだされました。
すでに存在する小中一貫校も
小中一貫校の取り組みは2000年頃から一部の自治体などによって取り組みが始まっています。(参考:「日本の小中一貫校の一覧」wikipedia )
このような学校では、
・部活動などの見学/体験・小学生への英語の先取り
・小学1年生と中学1年生の入学式、6年生と中学3年生の卒業式を一緒に行う
などが行われています。
しかし、現在は制度上は あくまで別々の小学校と中学校 です。現在小中一貫校では、小学校と中学校の教員免許が違う事など制度上の問題から、仮に小学校は5年間、中学4年間という制度を取っていたとしても、小学6年生にあたる学年の授業を中学の先生がすることはできません。
また多くの現在の小中一貫校は中学1年生からも生徒を受け入れていることが多いです。
小学校と中学校が同じ敷地でまさに「一貫」した学校になるというより、地域の小学校が、もともと多くの生徒の進学先であった中学校と連携しているといった様相です。
では、この小中一貫教育にはどのような期待がされているのでしょう。
小中一貫校教育によるメリット デメリット
導入にむけた検討会や、各マスコミでの意見をまとめると、
メリット
- 1.地域の教育現場の状況に応じて選択できる
小学校/中学校教師が協力して対応できる
少子化対策になる - 2.学力向上を図る
子供の発達は早まっている
英語教育の早期導入
小学校高学年くらいからの教科担任制度を
最終的には5歳児からの義務教育をめざす - 3.中1ギャップをなくす
子供のいじめや不登校が大幅に増えるのが中1に上がった時
小学校から中学へ生徒指導を引き継げる
デメリット
- 1.人間関係の固定化
9年間固定化した友達付き合い→環境の変化に弱くなる、緊張感がない
いじめや人間関係のほつれからリスタートできなくなる - 2.エリート校の受験激化
人気の小中一貫校に入ること自体の受験が激しくなるのでは - 3.小学校低学年と中学生の差
体格の差があり施設の安全面で配慮が必要
また、喧嘩では済まない怪我をする可能性は? - 4.教師の負担
現在の教員免許制度は、小学校と中学校の免許は別だがどうするのか
特に中学教員側の担当授業などの負担増加するのでは?
最前線 今、何が起きているのか。
東京都での公立小中高一貫校とは?
東京都では、2017年度を目標として小中高一貫校を設置しようとしています。
この小中高一貫では12年間一貫の教育を通じて理数分野への能力を高めることを理念として挙げています。
現在の計画では、最初の4年間と、残りの8年間では校舎が異なります。この教育課程の区切りのタイミングなどで、人間関係の固定化を緩和し、学校を活性化させるために、理系分野への興味関心の強い生徒の編入も考えているとのことです。
現状、小中一貫化のメリットがさほど大きいものには思えないというのがロジムラボ編集チームの意見。制度変更のための制度変更にならないか疑問は残る。とかく、”実験”が苦手な日本の学校行政であるが是非現在の取り組みの中でメリットを見い出し、学習環境の改善につながる改革は進めて欲しいと思います。
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