知識を抽象化する2つのステップで応用力アップ!

受験シーズンから半年が経過しましたが、今年の共通テストの問題を覚えているでしょうか。

おそらく保護者の方世代と問題の雰囲気が大きく異なっているのが数学ではないでしょうか。

2023年度の数学2Bでは、「ソメイヨシノの開花予想日を積分を利用して求める」という文章題が出題されました。「生活において数学を使う」という主旨で問題の状況が設定されています。

数学は昔から、「こんなの実生活では使わない」という批判を受けがちでした。一部の大学では、このようなテーマで出題されてきましたが、現実的な題材で数学の知識を使い、まさに「問題を解決する」というタイプの問題は、思考力が必要だとか応用問題だとか言われています。

今日は、「学んだことを使いこなす」というテーマです。

教室で学んだり、問題集で出来たことが使いこなせないというのは、目の前の問題が、実は教室や問題集で学んだ問題と同じものなのだと見抜くことができないということです。

大雑把に「応用力がない」とか「実践力がない」などと言われたりもします。このような力はどのようにしたら身につくのでしょうか?

キーワードは「抽象化」

例えば、小学生の「碁石の問題」を取り上げてみます。

例題:碁石が一辺が10個の正方形の形に並んでいます。一番外側に並んでいる碁石は全部で何個ですか?
解説:一辺が10個。正方形なので辺は4つ。10×4=40とすると角を2回ずつ数えていることになるので、40ー4=36個

というような説明を受けるはずです。この「碁石の問題」を学んだ上で、

例題:ビー玉が一辺が10個の正方形の形に並んでいます。一番外側に並んでいるビー玉は全部で何個ですか?

という出題に対応できるか?ということを考えると、多くの方は「当たり前だ」と考えるかもしれません。

「碁石の問題」と「ビー玉の問題」が同じように考えることができるという判別が「応用力」の最初の一歩です。

つまり「碁石の問題」と習ったことを「碁石」→「数えられるもの」というように抽象化して理解することが出来るかということが問われているのです。

ここで引っかかる生徒は多くはないですが、三角形になったり、二重、三重に並んでいると、途端に間違いが増えてしまいます。

これらに対応するには、この碁石の問題の解説を「辺に並んでいる総数を掛け算で数え上げるときには、角のダブりに注意する」とか「角の数え間違いを防ぐために、角の部分だけは書き出して確認する」というように抽象化しておくことが必要です。

もちろん、「応用問題」に事前に取り組んでおければ判別して解くことができるでしょう。しかし、現実には「パッと見たところ初めて」という形で現れることがほとんどなのです。

問題の解説を聞いて、「この問題はこのようにしたら解ける」とだけ頭に入れていては、「この問題」以外は対応できません。抽象化しておくことで、次に出会う問題にも適用できるのです。

抽象化のコツを2つご紹介

1:他の題材でもできないか?を考える

碁石の問題でしたら、「碁石」は「碁石以外」でもいけるのか?正方形以外は?一番外側以外は?を考えてみましょう。
テキストの類題では、なるべく色々なバージョンが紹介されているはずですが、そこからさらに変えてくるのが本番です。

2:どんな時に使う?を考える

碁石の問題は、「数えるときに、(掛け算を使うと)2回数えてしまう危険性のある箇所に気を配る」というロジカルシンキングの基本の「ダブり無し」の視点を養う問題です。

小学4年生のテキストに出てくる問題ですが、ここでは「数えてくださいと言う問題では、とにかくダブりに気をつける」と抽象化しておきます。

高校数学では、特に2が疎かになりがちですが、出題者である数学の教授たちは非常にシンプルに「この知識はどんな問題を解くために習ったんだっけ?」を問うことが多いです。

例えば因数定理は誰でも覚えていますが、どんな問題を解くときに使うものだっけ?は意外なほど答えられない生徒が多い一方、出題は多いです。

「応用力」とは「抽象化する力とも言えるので、ぜひ学びの中に取り入れてみてください。

是非みなさんも「考える力」の出発点として、この2点を大事に確認してみてください。